毛布で頚椎


さー
スイミングプールにおいて
事故が起きるとすると何があげられるでしょうか。

もちろん溺水事故もありますが

1番は飛び込みによる頚椎損傷


特に私の活動してる
アルバミンチ大学のプールは
イケイケの学生君たちが乗り込んできます。

スタッフがいくら注意しても
アホみたいに飛び込む彼等

良く怪我しないよね

こんな水深で頭から飛び込んだら
死ぬだろお前ら

と思う場面もしばしば

もちろん
飛び込ませないために
注意ポスターやアナウンスの徹底はやっていきますが


ライフセーバー
事故を防ぐだけでなく
万が一事故が起きた時に適切な対応をしなければなりません。

という事で
アルバミンチ大学のプールのライフセーバー達に

頚椎損傷の処置を教える事にしました。

日本や諸外国では
頚椎損傷の際に

ネックイモビライザー
バックボード

という物を使い
傷病者の固定を行い
救急隊に引き継ぐようになっています。

この処置はとても難しく
固定の手技に不備があれば
逆に容態を悪化させてしまいます。

お分りのように
首はとても重要な器官で
首から下が動かせなくなる危険生もあり
頚椎の損傷箇所によっては
呼吸器官への神経が損傷し死に至る事もあります。

そのために
日本のライフセーバー
バックボードでの固定練習を何度も重ね
事故の際は、最新の注意を払って対応します。

ライフセーバー
医療行為はできません。
傷病者の安全確保と容態の悪化を防ぐための行為しかできないようになっています。


さー
話しはエチオピアに戻ります。
大きなサッカーの試合でバックボードを見た事はありますが

もちろん
アルバミンチ大学にバックボードはありません。

どうするか

大学時代
ライフセービング部の部活の勉強会で毛布を使った頚椎固定を方法を思い出しました。

ネットで調べると
日本の災害現場や救急隊でも行われている手技のようです。

部活の勉強会で
OBで救急隊で活躍されてる方に指導を受けた経験が
ここエチオピアで活かされました。

首都にある
JICAドミトリーで古くなった毛布をもらい

3人のライフセーバーに指導を行いました。


頚椎捻挫と思われる比較的軽度の際は
傷病者の死角から声をかけ首を動かすことは絶対にしてはいけない

そのため、必ず傷病者の正面から声をかけ頭部を固定し
2人1組で毛布を首から前にクロスさせて吊り上げるように固定する。

家庭で実際にやって頂けたら分かりますが
これだけでもかなり固定されてる感があります。

そして
水中でのアプローチ

この場合はプールに飛び込み
頭部を打ち付けら脳しんとうを起こしたか頚椎損傷が激しく
身体を動かせなくなっている事が考えられます。

まずは
クラゲ浮きになっている傷病者の両腕を取り、ストーリームラインのように両腕を保持します。

これにより
傷病者の頚椎は固定されて動揺がなくります。

そして身体できるだけフラットにして呼吸が出来るように傷病者の身体を反転させます。

この後にバックボードや板を傷病者の下に滑りこませ
プールサイドに引き揚げます。

意識、呼吸の確認を行い
必要であれば心肺蘇生法を行います。

今回
バックボードがないので
全ての手技を行えませんでしたが

スタッフ達が大き目の板を用意してくるとのことだったので
モノが揃ったら全部通し指導したいと思います。


最後に
今回の対応について
私の経験と教本やネットで調べたモノをベースに指導を行いました。

しかし、これが確実だと自信を持って言えないのが本音ですら、
そのため
コメントやアドバイスがありましたら是非連絡頂きたいです。

基本的にライフセーバーの出来る事は限られているし、
もちろん搬送先の病院Dr.の指示を聞きにも行きます。

出来る事の限界はありますが
もっと良いやり方、考え方、
なんでも構いません。
医療関係者やライフセーバーに限らず、アドバイス頂けたら幸いです。


よろしくお願いします。


1つだけ
今回いろいろとFA、頚椎損傷など指導してよかった点は
アベラ達ライフセーバーの自信を付けさせる事が出来たことです。

これまで
遊泳者に厳しく注意するしかなかった彼等から言われのは

これまでは何も知らなかった。
だから事故を防ぐために怒鳴るしかなかった。
でも今は何かあれば対処する術がある。

とても良い表情で感想を言ってくれたアベラ

そうなんです。
分からないからこそ
怖いんです。

ライフセーバーだけど
知識も技術もない
それは現場に立つ彼等が日々感じることです。

何かあれば救える
その安心感が
水泳を楽しみに来た遊泳者に伝わってくれたらいいなと思いました。