23個の金メダル

エチオピアから嬉しい知らせ!

私が指導してきた南部州の水泳選手達が
6月末〜7月上旬に行われた
エチオピアの国内選手権で23個の金メダルを獲得したようです。

私が帰国した翌日から大会が始まり
毎日、金とったよー!
と写真やメッセージが届きました。

本当に嬉しい

最後に彼らの有終の美を見れなかったのは残念でしたが、わたしの予想通りの結果を残してくれました。

プロジェクトリーダーから昨年8月に
20個以上の金メダルを獲得したいと言われてた事もクリアし
100点ですね!

ここまでの道のりは
振替えるのも大変…

約9ヶ月におよんだ水泳指導
度重なる問題、問題、問題…
もう投げ出してしまいたい時もありましたが、それは泳いできた選手も一緒


水泳指導なんて一度した事ない私ですが
毎日オリンピック選手の泳ぎや、トレーニング方法を研究して試行錯誤を重ねました。

しんどい事や心拍数があがるトレーニングが大嫌いで直ぐに断念してしまう国民性

いろんなトレーニングドリルや
自作の水泳用具なんかで
飽きさせないようにして

少しずつ
競泳の練習メニューに近づけていきました。

クロール、バタフライ、平泳ぎ、背泳
それぞれメニューを作成して
練習前に個別に説明
練習中は水の中で指導


そして
選手のタイム経過を掲示
前回大会の優勝選手のタイムを基に
目標タイムを設定して

それぞれ
個別目標を立てさせました。

既に3月の段階でほとんどの選手が前回大会の記録を更新しており
後は私が設定したタイムに到達するだけの状況
(他に大差をつけて優勝して欲しかったし、それが出来る環境やポテンシャルがあると思ったから高い目標設定にしました。)

更に
私が練習メニューの紙1枚渡せば
選手だけで練習ができるようになっていました。

男子チームの金メダル量産は間違いない
女子も金メダルは取れなくて銀、銅は取れるレベル

しかし
大会を目前とした6月は
チフスマラリアが大流行
練習したくてと出来ない選手が続出

最後までトレーニングに付き添えませんでしてが

競泳で行われている
大会に向けたテンパー(試合に向けた調整)メニューを4週前から導入して
最終調整、試合当日のウォームアップの方法に至るまで反復して教え込みました。

病欠、国家試験と重なったり
思うような調整は出来ませんでしたが

選手達、プロジェクト関係者も
私の方針に賛同してくれました。


最後まで理解し合えなかった問題コーチ達には

もう最後だったし
私の代わりを務めてもらわないと困るので
正直に気持ちを伝えて理解を促しました。

本当に分かりやすく
“お前の事は大嫌いだ。何度も問題起こしては姿をくらまし、大事な大会前だけ顔を出して、俺が教えてきた内容を無視して指導したがる。ふざけんな。まず、俺にごめんとありがとう言えよ!俺も人間なんだわ!xxxxxx
大会は君が引率するんだろ!君は何もせずに応援しておけば、選手は勝手に金メダルをとるから余計なアドバイスや指導はするな”


ここまでハッキリ言って
やっと分かってくれました。

23個の金メダルが取れたのは
この問題コーチもちゃんと協力してくれたんでしょう。

選手達へも
腹が立って思いをぶつけた事もありました。

“お前ら毎晩9時前に寝てんだろ!俺は毎晩君らのトレーニングメニューを作成するのに夜12時まで準備してるんだよ!

~食事を例に~
毎日、最高のチキン煮込み(ドロワット)を作って、食べてくれない…辛くしたり、甘くしたり、食材変えてみたり
いろんな試行錯誤してるのに、みんな残す…
何でなんだ?
嫌いなものはないか?何が好きか?
俺は毎日聞いて作って、体調に合わせてアレンジして、それでも食べてくれない

意味が分からない
俺も人間なんだ
お金も貰ってないボランティア
君らが好きだから
サポートしてるだけ

ロボットでも神様でもない
俺も人間なんだよ!

外国人だけど俺も人間なんだよ!
わかるか!


こんな感じで
選手達に自分の気持ちを伝えた時もありました。


やっぱり最後は人と人

神じゃないし
思った事は伝えないと分からない。


この事で最後に
選手やコーチ達とぐっと近くなれた気がしました。

唯一英語が出来る選手からは
Facebook を通して
個人で5つもの金メダルを取れたのは
全てコウタロウの仕事だ。
感謝しても仕切れない
ありがとう

とありました。

本当に嬉しいメッセージでした。
これは頑張った選手が凄いんですが

大会を終えて
こんな一言が言える人間になってくれたんだという面で更に感激しました。


最後にエチオピアの水泳についてコメント

エチオピアは競泳するにはまだ早い
これが私の結論です。

何故なら
チフスマラリア、沢山の病気が蔓延していて、体内にこれらの病原菌を持っていたり、感染しやすい環境で生活している現状でハードなトレーニングを継続する事が困難。

これは私が自分の身体を通して理解したことです。
日本のイメージでトレーニングで追い込んで、疲労する。するとマラリアチフスを発症する…

何故頑張れない?
きつい練習が嫌い
直ぐに練習を休む

だからタイムが伸びないんだ!

こんな感じで思っていましたが

いやいや
日本のように練習して
疲労困憊になったら抵抗力落ちて
病気なるし、下手したら死ぬ

マラリアチフスも重症化したら死にます。

彼らは根性無しでなくて
自己防衛してるだけ

これがエチオピアで競泳がまだ早いと思う理由です。

私が設定した目標タイムは惜しいところまでいきましたが、未達のまま
私の指導者としての力量に非がないとは言えないものの

衣食住がまだまだ貧しい国です。
たぶん
国が発展していけばスポーツの競技レベルも上がっていくと思います。


さらに
私が指導した15~18歳の13名の水泳選手はいい泳ぎをするし、素晴らしい指導者になると思います。

彼等が指導者となって10年後、20年後のエチオピアの水泳は間違いなく変わるはずです。

自分ではどうしようもない課題もありますが
未来に種をまけて

彼等と過ごした9カ月間は私の宝物だし、今後の財産です。


本当にありがとう
君らを誇りに思うよ

と選手たちに返信。

いつかまた会いたいな
東京オリンピックでの再会あるかも
ちょっと夢ができました。

 

送られてきた写真たち

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 男女年齢は15歳~18歳

※大会時の記録ではありません。

男子はエチオピアでトップレベルのタイムです。

女子はタイム的にはまだまだですが、半年前までバタ足ができない子たちで4泳法を習得して大会に出られる段階にこれたと考えると男子より頑張ったと思います。

日本の競泳と比較するとかなりタイムは遅いですが、手足が長く川や湖で泳いできたエチオピア人のポテンシャルはとても高く、今後もっと良いタイムを出す選手が出てくると思います。